留学生新聞ニュースWEEKLY
2009.7.22号 より
●入管法改正案成立で 大きく変わる在留管理
衆議院は21日解散され、政界は8月末の総選挙に向かって選挙シーズンに突入した。今国会では政治の混乱により、いくつかの法案が審議の停滞などで最終的に廃案となったが、法務省が提出していた入管法改正案は今月8日、すでに可決・成立しており、留学生を含めた在日外国人の在留管理制度が今後大きく変わることになる。
■「留学」は最長4年3カ月に延長も
7月より最長で2年3カ月に在留期間が延長されたばかりの「留学」資格について、法務省では近く、最長で4年3カ月に再延長することも視野に入れ検討を進めていることが分かった。今回の法改正の趣旨が浸透し、運用が順調に推移した場合は、事実上、大学(学部)在学期間中は「フリー状態」となる事態も想定され、留学生の適切な在籍管理の面で今後大きな議論を呼ぶことは間違いない。
■「留学」と「就学」が一本化 現実には二重基準温存か
長年の懸案だった「留学」と「就学」の在留資格上の区分がなくなり、「留学」に一本化された。ただ現実には、法務省の在留資格審査の基準が大学と日本語学校で一本化される見通しのないことや、学割の適用が各鉄道会社の裁量任せになっている現状から見て、 両者の二重基準は温存される公算が大きく、当面は形式的・象徴的なものに止まりそうだ。
■出国後1年以内の再入国は許可不要に(みなし再入国許可制度)
従来、留学生などが母国へ帰国する際に取得が義務づけられていた再入国許可は、出国後1年以内に再入国する場合は原則として許可が不要になる。但し有効な旅券と在留カード(後述)を所持する外国人であることが条件。
■在留期間の上限が3年から5年へ
現在「3年」と定められている在留資格について、法務省令により「5年」へ変更し、「技術」資格所持者などのいわゆる就労ビザに最長5年の在留資格が付与される見通しとなった。
■在留カードの導入と外国人登録制度の廃止
法務省が外国人の在留管理に必要な情報を継続的に把握するために導入したのが在留カードで、入国時や在留期間更新時、在留資格変更時などに交付され、常時携帯を義務づけられる。同カードの導入により、旧来の外国人登録制度は廃止される。
届け出上の変更点としては、例えば日本人の配偶者などが配偶者と離婚または死別した場合、今後は14日以内に地方入国管理局への届け出が必要となる。